がんばらないTURBO

元不登校かつ人苦手マンなもんで、大体うらみごとと考えごとをしている。そしてブログにまとめる。音楽、お笑い、e-Sports、本、投資、うすぼんやりした美術鑑賞。

Yui-metal脱退に寄せて:「力なきもの」に力を与えたBabymetal

f:id:yagi_ttm:20181022134056j:plain

画像出典:Amazon.co.jp「NYLON JAPAN 2016年 5月号 スペシャルエディション(BABYMETALカバー)」

スポンサードリンク

   

 

Yui-metal(水野由結)の脱退

www.babymetal.com

昨年12月の広島公演を体調不良のため欠席して以降、活動をお休みしておりましたYUIMETALですが、本人の復帰への希望を受けて、メンバーおよびスタッフによる長きにわたるサポートを続け、ステージへの復帰を待っておりましたが、この度、本人の意向により「BABYMETAL WORLD TOUR 2018 in JAPAN」10月公演への出演を見送るとともに、BABYMETALを離れることとなりました。

去年よりライブではSuとMoaだけ姿を見せ、理由については詳しくアナウンスがない状態で放置されていましたが、とうとう発表がありました。ツイッターで一気にトレンドワードに入ってたので、なんだかんだですごい人気だったのだなあと思うところです。

パフォーマンスの上でシンボリックな存在であったYuiとMoaであって、今後の音楽性や活動それ自体に問題はないとは思うものの、「天使のような」っていう形容がぴったりなくらい可愛いメンバーだったので、居なくなるのはとても悲しいです。

ありがとうございました。お疲れ様でした。

熱心なファンではありませんでしたが、脱退が悲しいです。もっと活動を見たかった気もします。でも感謝があります。ありがとうございました。

 

僕とBabymetal

5年くらいの音楽番組をぼんやり見てるときに、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」の紹介とともにアイドルとメタルを融合させた音楽性のアイドルであることを知りました。さくら学院の枝分かれってのもその時把握。まあ、アイドル自体さっぱり明るくないので、今に至るまでメンバーの細かいことは頭に入ってないんですけど、この曲聴いたときは笑顔が溢れました。楽しい。

まるでパロティかっていうくらい、嘘くさい「アイドルっぽさ」を煮詰めた歌詞と世界観に、重低音が重なってて、全く味わったことのないごった煮感。ニューウェーブっぽい打ち込みと爆発するキュートネスでメタル感を中和してて、メタルとアイドルポップスの楽しさを本当に両方味わえました。なので、なんだかヘラヘラと聴いてしまいました。

 

イギリスにEnter Shikariというバンドが居まして、このバンドのデビュー当初は「トランスとメタルコアの融合」だったんですよ。この感覚と似てた。聴いたら「ホントだ(ヘラヘラ)」っていう感じになる。現在はトランス要素だけ残していろいろやってます(このタイミングで去年のアルバム聴いた)。

そんでこのバンド、デビューから現代に至るまでもう12年活躍してる、大人気バンドであるわけです。Babymetal仕掛け人がこのバンドを意識していたかどうかは知りませんが、系譜としては同じだと勝手に思っております。

 

2014年Sonisphiaライブ、世界進出

イギリスのロックフェス「Sonisphia Festival UK」での映像です。その直前は日本のメタルフェス「Loud Park」に呼ばれて賛否が起こり、イギリスのこのフェスにはサマーソニックでのステージを見たメタリカからの推薦があってメインステージでの出場に至っています。

メタルファンって、わりかしややこしい方々が多いというイメージがありまして、海外でもそのようで、「知らねえアジア人の(恐らくメタルのメの字も知らない)若い女たち」がメインステージ出ることに相当賛否があったようです。しかし、6曲の演奏でとりあえず支持を得て、こっから「ジャパニメーション的」な立ち位置でなくメタル系ミュージシャンの末席として認められ、音楽とパフォーマンスを売りに世界的な活動を広げていきました。

この映像でも取り上げられた「イジメ、ダメ、ゼッタイ」って、音源で初めて聴いたときは、やっぱり僕にとって半笑いの楽曲だったんですよ。このタイトル自体、ポスターとかで使われてた標語だったわけだし、サビではMoaとYuiがそれはもう可愛らしい声で「ダメ!」「ダメダメダメダメ!」とバツじるしを作って調子を合わせるんです。これってもう、安来節とかで「ヨイショ!」「アソレ!」てやるのと一緒で、意味が見当たらなかった。「楽しさの演出」としか思えなかったんです。最後の方の「ゼッタイ」って言葉が出てくるところとか、「日本語ロックの敗北」を感じさせるゴロの悪さだし。つまり、メッセージはなんでもよく、この音楽としての足りなさを楽しむ機能なんだな、と思ってたわけです。

ただ、このライブ映像見たときに、うっかり泣いてしまいました。もちろん、彼女らがこの曲を作り上げたわけではないんですが、この曲は、ギャグとか半笑いの要素を込めて作られたんじゃなく、「いじめを許さない」「いじめられている者に力を与える」という目的があったんですよ。それをBabymetalが真剣に応えてるように見えた。

「幼児退行かよ」と思ってたタイトルやサビの詩の置き方も、メタルってジャンル自体が「力を与える」という機能を持つために「でかい音を鳴らす」「でかい世界観を広げる」といった、ある種幼児退行的な手段でこの世界と対峙してきたわけだし、この曲は「メタルであってアイドル」がかなり高い次元で結実していると思った。だからこそ、この曲をラストに置いても、言葉のわからない観客に伝えることに成功してたのよな。

ましてや、熱心なメタルファンの一部に拒絶されていることがわかった上でのこのライブだったので、合わせて感動してしまった。

MVでは、墓のように突き立てられたフライングVの前で悲しむ、典型的オールドタイプメタルミュージシャンをBabymetalが救うというストーリーになってて、現在決して盛り上がっていないこの力なきジャンルに力を与えることを示唆しています。至って真剣なんですよね。ほんで、実際に、このメタル界隈に賛否はあれど力を与えてるんだからすごい。

今年1月は神バンドのギタリスト、藤岡幹大が急逝

www.cinra.net

ファンにとっては試練の2018年になっています。

Babymetalは、公式からメンバー周囲の情報について詳細な言及が少なく、メンバーそれぞれもBabymetalとしての即時感の強い情報発信をやっていません。Yuiが去年からのライブに一切参加しなかったことに、公式から詳細な言及がないことなどからも、メタルバンドとしてコンセプトに沿った姿勢を貫いていると思います。

が、藤岡幹大さんが急逝されたあと、ライブDVD発売のタイミングで映像が公開されています。

藤岡さんが亡くなってからチャンネル登録してたBabymetalからこの動画がアップされたのを見て、音楽があってよかったとつくづく思いました。改めて、Suのボーカルが素晴らしいことと、曲がよいことと、何かを伝えることができているということ。

 

Yui-Metal脱退発表と同時に公開された新曲「Starlight」

前曲の「Distortion」 に引き続き、ゴシック的な世界観は継続。お菓子ポップンメタルは一旦横に置いて、世界戦略のために駒を進めている感じがします。この曲に関していえばデジロック感が強い。

歌詞の内容は、やはり「力なきものに力を」というメタルのアティチュードに沿っていますが、「No Rain, No Rainbow」が事故的に死別の歌として取り上げられたのと違い、こちらは「We'll never forget shining starlight」という歌詞が登場したあと、ローブを纏った二人の人間と、その背後に立つバンドメンバーの映像を差し込んでいます。

Babymetalは、この曲で、ダメージを追ったバンド自身に力を与えようとしてるように見えます。そして、新しいところへ力強く向かっていくと思います。

 

いつまで「アイドル」でありつづけるか

Yui-metalの最高に可愛い「ヘドバンギャー!!Yuiボーカル版」を。

ファンの皆様へ

フリル付きのスカートにツインテールを揺らして踊り、「ダメ!」と叫んで説得力を得るのって、そのイノセントさに年齢や肉体的な説得力がないといけない気がします。提供する側として、19歳になった現在「ドキドキモーニング」で「前髪ぱっつんが云々」といった歌詞を成立させるのは、照れを紛れさせなければいけない時期もきっと出てくる。もう、今かもしれない。

水野さんがどういう経緯でBabymetalから脱退するのかはさっぱり知りませんが、ローティーンからアイドルをやってきた人が二十歳を前にして、何か思うことがあって、アイドル活動から距離を置きたいという気持ちが出てくる可能性について「そりゃあるだろうな」と思います。特に、Babymetalはアイドルに加えメタルという文化のうねりに身を置いていたわけで、不安なところがきっとあったはず。

僕のような消費者は、アイドルがコンセプトと共に提供する商品を無邪気に食らって、精々こんな文章を吐き出すだけなので、水野さんのその後の芸能活動・人生について幸多からんことを祈ります。

 

まとめ

アイドル活動って、年齢や時代によって変容していくことそれ自体を楽しめるのが、商品としての魅力だと思います。Babymetalくらいビッグになったケースでも、演者に動きがあって、それを止められないということは、これを受け取るファン側もその活動の一部になっていると思うのでした。

今後のBabymetalの活動がとても楽しみです。

海外対応の楽曲をある程度掘ったら、また日本的ごった煮感のある、Babymetalしか許されないような曲をリリースして欲しいです。

スポンサードリンク