がんばらないTURBO

元不登校かつ人苦手マンなもんで、大体うらみごとと考えごとをしている。そしてブログにまとめる。音楽、お笑い、e-Sports、本、投資、うすぼんやりした美術鑑賞。

グレイテスト・ショーマン:うるせえ説教にケチャップをぶっかけろ

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 ネタバレありです。

 

 

 

 レンタルで鑑賞。公開中から「あー、なんか盛り上がってんなー」と思ってて、一番近くの劇場でも延長延長で、義務感に駆られてはいたものの、結局何かが干渉して鑑賞できず(おもしろいやつ)。公開終わったときは感傷的になっちゃいましたね(おもしろいやつ)。

 下記フィルマークスでも11万超えレビューで星4超えという、わりと驚異的な評価になってるため、「そりゃ面白いんでしょ」と何の構えもなく見始めてしまいましたが、これがぜんぜん面白くなかったので、ここで感想書いてやれと思った次第なのでした。

filmarks.com

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非常に格好悪い多様性の受容

 多様性って言葉自体ちょっとヤバイ感じになってきている昨今。こんだけ各国に保守のリーダーが生まれているのって、「超絶一般人」が手持ちの知識と器で受けきれない程度には、「多様性を受け入れる(全部カタカナでもいいかもしれん)」という生活様式が広まってきているのだと思います。

 この映画は、バーナムという男が「社会のはみ出し者を集めてショーをし、大成功をする」というのが大体の話になっているのですが、すごい肥満だとか、女性でひげが生えているとか、アルビノであるとか、黒人であるとかいった理由でメンバーを集めていくのですね。実話ってことで、当時のアメリカの一般的感覚を反映しているのかどうかわからんが、一般人による彼らの差別的反応がものすごく紋切り型であり、大してバーナムの『短所ではなく個性』みたいな喜んで受け入れるタイプの反応とかが、あまりにリベラルでわかり易すぎてしゃらくさいんですよね。「ほうら、こんなに障害を抵抗なく受け入れちゃうよ!みんなも当然そうだよね!人ってそうあるべきだよね!そうでないやつ生きる価値ないよね!」みたいな。うっせえボケ。

 日本人の僕ですらこの感じになったんだから、うっかりトランプ大師匠を大統領にしてしまう程度に、リベラルへのカウンターが起こってる本国の方はさすがにうるせえ感じに見えてしまうのでは。と、思ってウィキペディア見たら、観客はそれなりに、批評家辛め、くらいの評価らしい。まだこのくらいはケツの穴余裕があるってことですかい。僕が締まりすぎですか。

 

はみ出しものが主役でない

 僕が見る限り、映画の骨が「多様性関連」にも「バーナムの成功」にも振り切っているようには見えなかったのな。ラストのモノローグで、「他人の幸せが自分の幸せだ」的なことを実在バーナムさんが成功体験としておっしゃったのを掲載しているため、伝記的にも見せているのに、バーナムがフックアップしたおかげで生活の場を作れた、と感謝するサーカス団員をたっぷり映したりもしてる。この映画が社会的弱者の見方をひとつ提唱しており、僕たちにありがたきお説教をしていることは間違いないと思うのです。

 だとしたら、バーナムの団員への視線が少なかったり、冷たかったりしすぎるのがあまりにも愛がないと思ったのよね。特に、オペラに団員を招待したシーンでは「あいつら関係者席入れたら目立つしなー」「立たせとくか」ってはっきり口にだして、フィリップも『え?マジこいつ?』みたいなリアクションとったし、その上で、特にこの件に関してバーナムへのペナルティが映画上で発生してないのも変に感じた。

 その上で終盤、『金儲けだったかもしれないけど、私たちにはあなたしかいない』って弱者たちに言わせてんのよ。残酷すぎないですかね。社会的弱者が独り立ちできない事実と、邪険にされようが強者に媚びるのが生存戦略の最適解って。よくこの感じでポリコレ風出してきたなおい。バーナムはバーナムで、「あなたしかいない」と請われるシーンでも、家族の写真が入った額縁を見て「うんそうだな!家族のためにショーやるわ!」って言い出すし、最後までてめえが金のために巻き込んだはみ出し者たちを気遣うようなシーンが見られなかった。嘘でも「家族と、お前たちのため」って言え。まじで金と名誉だけ睨んでやがった。実際のバーナムさんがそういう人間だったとしても、嘘をついてくれ。

 ショーの中身は、歌うたってダンスして、とあるけど、実際役割がはっきり映るのは一部のキャラ立ったはみ出しものだけで、アルビノとか中国人双子とかは、なんかやってるようで何もやってない。そして、脳も含めて五体満足な「見世物として経済への跳ね返りがある人」のみ救われる道があるというとても狭いケースの話だったりもするしさ。実際にあったケースに対して「どう救いになったか」だけ紹介してもらうわけにはいかんかったかね。説教感出すから僕みたいなイチャモン言いを刺激するのよ。

 だったら最初から素直に、「弱者の救済」みたいなやかましい要素は捨てて、バーナムの人間性にフォーカスしたドラマにすればよかったんじゃないのかね。 

 

歌はいい、展開は凡庸

 ララランドとか見たとき、あとディズニーアニメ全般とか、歌に乗せて何かを説明されるとテンポもいいし、なんか簡単に納得してしまう。この映画は金もかかってるし、歌はそりゃあいいです。うっかり泣きそうになる。特に、日常会話をしてて、少し間が空いた後「あれ?今の台詞に節ついてた?始まってる?」みたいなドキドキ感もいいです。フィリップとパートナーになる際のダンスと歌とか、撮り方も含めて最高でした。

 でも、歌で纏め上げるって、「ケチャップ炒め」みたいなちょい乱暴な要素にはなりますね。歌をよくすることと、ヒュー・ジャックマンの歌がうますぎることと、映画全体がどうこうってのは別ですわ。

 展開は、開始25分で、サーカス成功までいくんです。てことは、「調子乗ってうまくいかなくなって、いったん落ちてから復活するんだろうな」って思ってしまいますやん。そうなるんです。意外なところが何もない。

 フィルマーク等での好評価と、あとその公開当時のツイッターでも絶賛するアカウントがぼちぼち出てきてたんですが、多分、歌が良かったってことと混同してるんじゃないかなあ。

 

まとめ

 ポリコレ要素はうまくいっておらず、展開は凡庸、歌は最高でバーナムはクソ。

 僕の評価が低くなったのは「説教しやがったなコノヤロウ」となったためです。今書きながら『そんなに書かなくても』ってもう熱下がってます。